チョコレート展ー国立科学博物館

2013.02.14

ソルトマイスター便り

今日はバレンタインデーですね。
昨年11月より今月の24日まで上野の国立科学博物館で「チョコレート展」が開催されています。(主催:国立科学博物館、読売新聞社 後援:文部科学省 協賛:日本チョコレート・ココア協会)
一般社団法人日本ソルトマイスター協会は「塩と健康」「塩と身体」に関しまして医学博士である板倉弘重先生に、ご専門である内科学のお立場からお話を伺ってきましたが、板倉先生は「日本ポリフェノール学会」の理事長もしておられます。
また、農学博士であり「食塩ー減塩から適塩へ」の著者で東北大学名誉教授、昭和女子大学名誉教授である木村修一 先生にもこれまで「塩と食」「塩と味覚」「塩と身体」などについて多角的にお話を伺ってまいりました。
日本チョコレート・ココア協会のシンポジウムでは、このお二人の先生方が
実行委員長と副委員長をなさっています。
去る1月11日に「チョコレート展」に行ってきましたので、
バレンタインデーの今日レポートしたいと思います。
会場は全体がチョコレート色を基調としたトーンの展示場となっていました。
まずはカカオの実と種の展示。
カカオは年中花を咲かせるが、実に結びつくのはごくわずかで、その実は幹に直接くっついた状態で育ちます。暑い国の作物ながら日光に非常に弱く、大きく育つまでにバナナなどの背の高い木々に庇になって守られています。
その実は大きく、ラグビーボウル程の大きさとなります。
熟したカカオの実は甘く美味しいそうですが、チョコレートの元になるのはその中の種です。
歴史的には
マヤ文明の頃は、小麦粉と練り合わせたり、唐辛子など加えて飲まれました。
勿論特権階級のみの嗜好品でした。カカオはその貴重さから金に匹敵する貴重なものでした。
マヤ人に見いだされたカカオがアステカに伝わり、
やがてスペインがアステカを征服、スペインはカカオの貴重さを知り
門外不出として自分たちだけ(王侯貴族のみ)で楽しんでいたそうです。
その後スペインの王女がフランスに輿入れした時にココアを持ち込み、
砂糖を加えて飲まれるようになりました。
写真はチョコレートドリンク専用のカップ、ポット、かき混ぜて泡立てる為の棒(モリーニョ)
カップは普通のCoffeeカップと違い、皿にくぼみを設けて安定感のあるものなど。
ポットはモリーニョでかき混ぜることを考慮し、持ち手が真横に設置されています。
当時のヨーロッパでは、Coffeeは一般庶民が飲むもの、チョコレートは貴族階級の飲むものらしかったようです。
その後、チョコレートにはミルクやバニラ、シナモンなどが加えられより豊かなものになり、
レシチンを加えて原価低減が計られたり、加工技術の進化、実業家達の参入により、高級な嗜好品から一般庶民の口に入り易くなりました。
江戸時代1797年、遊女がオランダ屋敷より貰い受けた「しょくらと」という記録があり、
日本で最初のチョコレートに関する史料です。
明治時代(1873)、岩倉具視使節団がパリに派遣されチョコレート工場視察。
大正時代、カカオ豆から製品までの一環生産の開始。
昭和時代、戦争の影響により一時途絶えるも、戦後の米軍放出チョコレートやグルチョコ(チョコレートの代用品)が流通。
1918年 森永ミルクチョコレート
1926年 明治ミルクチョコレート
1958年 グリコアーモンドチョコレート
1962年 不二家LOOKチョコレート
1964年 LOTTEガーナミルクチョコレート
など、日本にもいよいよチョコレートが溢れる時代を迎えます。
ずっと「塩」「ポリフェノール」との関わりを探しておりましたが、
ここでちょこっとだけ「塩」の文字を見つけました。以下引用
「ココアパウダーのアルカリ処理」
1828年、オランダのバンホーテンは、カカオマスに炭酸カリウムなどのアルカリ塩を加えると、
酸味と渋みのあるカカオの飲料がまろやかで飲み易い味になることを発見しました。
これがアルカリ処理(「アルカリゼーション」とも言います)という製法の始まりです。
この製法は、現在でも同じようにココアを作る際に行われています。
アルカリ処理は、通常、カカオニブの段階で行われます。
*カカオニブ ▶ カカオ豆をローストし、粉砕後、外皮や胚芽を取り除いたもの。
アルカリ溶液の濃度や培炒温度・時間を変えることによって、
さまざまな種類のココアパウダーを製造することが出来ます。
アルカリ処理の科学は非常に複雑ですが、豆の持つ酸が中和されることで酸味が減り
褐変が進んで、渋み、苦みも減り、水に馴染み易いパウダーになります。
板倉先生曰く「ポリフェノール」には血圧を下げる効果があるという事です。
また、チョコレートの中に「塩の粒」が入っている商品もあり、そちらは食べると途中でチョコレートの中の「塩」が溶け出し更にチョコレートの甘みを引き立てます。
レストランのデザートでもチョコレートアイスに塩をしている事も多く、
皆様もご存知の通り、「チョコレート」と「塩」の相性は非常に良いと言えます。
「チョコレート展」は今月24日までなので、皆さんも是非、行ってみたらいかがでしょうか。
( photo by  M.Yamadera)

チョコレート展

http://event.yomiuri.co.jp/chocolate/