塩分と人体
板倉 弘重 医学博士
出身大学:東京大学医学部卒業
所属学会:日本内科学会
日本動脈硬化学会名誉会員
日本健康・栄養システム学会理事長
日本ポリフェノール学会理事長日本老年医学会特別会員
日本肥満学会、 日本栄養・食糧学会名誉会員
日本臨床栄養学会理事長
専門医:認定臨床栄養指導医
経歴:同大学第三内科入局、カリフォルニア大学サンフランシスコ心臓血管研究所留学、
東京大学第三内科講師、国立健康栄養研究所臨床栄養部長を経て現職。
日本栄養・食糧学会副会長、日本動脈硬化学会名誉会員、日本臨床栄養学会評議員 理事長
茨城キリスト教大学生活科学部食物健康科学教授を経て現在は同大学名誉教授。
現在は国立健康・栄養研究所名誉所員。
エミリオ森口クリニック院長・品川イースト・ワン・メディカルクリニック。
[第一回]
(質問)先ず初めに、塩を摂取すると体内ではどのような作用が起こっていますか?
(板倉先生)
人間に必要な必須の栄養素、糖質も脂質もビタミンもミネラルもいろいろありますけれど、
いずれもないといけないし、いずれも取り過ぎると害になりますね。
取れば取る程いいという物ではない。
適切な量を取る事が必要。それが必須栄養素として見つかってきたということです。
人間の体の中では体に必要な栄養素を血液で全身に血液循環で全身に送っています。
血液成分の主要な成分がナトリウムと塩素(NaCl)で、それが体液として働いています。
人体は60兆個位の細胞からできて、その細胞の間を体液が浸しているんですが
その細胞外の体液中の主成分が塩(ナトリウムと塩素)ですね。
細胞内では、ナトリウムに対するものとしてカリウムが多く含まれ、
そしてナトリウム、カリウムのバランスの上で生命が成り立っています。
塩を摂って、吸収されて血液中に運ばれて体液として働いてそれが尿となって排出さ
れているという循環をいつも繰り返しています。
そして、それを繰り返す事によって、体の中での体液中の食塩の塩の量、ナトリウムの量がいつも厳密にいつも一定になるように調節されています。(135~147mEq/L)
血液中に多過ぎてもいけない、少な過ぎてもいけない、一定量になるように調節をし
て、作用しています。
低い数値ですと低ナトリウム血症、高い数値ですと高ナトリウム血症となります。
ナトリウムが汗等で失われて、水たけを補給した場合はナトリウムが不足している状
態になり低ナトリウム血晶となり、めまい、吐き気、だるい、頭痛などの症状が発生
し、最後には死に至る事になります。
神経が働く為にナトリウムが細胞の表面にあるポンプを通して、細胞から入ったり出
たりしないといけません。
ナトリウムが足りなくなると神経も止まってしまいます。
心臓も止まってしまいます。
神経活動全てが止まると、脳死状態になってしまうという恐ろしい状態となる訳です。
細胞内外でナトリウムのバランスを一定に保つ事により例えば、運動したり、考えた
り、神経が神経伝達で働く時には細胞の外にあるナトリウムがその神経細胞の中に入
る事によって、電気的な動きが生じて、電気のシグナルが伝わる事によって運動した
り考えたり神経機能が発揮出来るのです。